1-3 大きな病院へ

1/1

335人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ

 1-3 大きな病院へ

 H大学附属病院で、整形外科や内科、小児科、さまざまな検査を受けました。  主治医の教授にはつねに研修医が何人もついたようです。何度も何度も全身の写真を撮りまくられ、研修医にレクチャーし、分厚い医学書をめくる…    ヤマといわれた一週間はなんとか乗り切ったものの、依然どんな病気なのか分からず、全身のレントゲンをとりました。全身にレントゲンなんて、人体に影響が出そうですが、当時は命を救うことが最優先、そんなことは言っていられません。変形した手足はギプスでがちがちに固められました。小さな体で、ほとんど肌は見えず包帯とギプスでぐるぐる巻きだったようです。    やがて3歳までに、手には生まれつき腱がないことがわかり、機能するように腱の移植手術、折れ曲がった足は内半足と診断がつき、矯正手術を何回かにわたってうけました。    特に手の手術では「日本に三本の指にはいる」名医がチームを組んで、大手術を行ったそうです。    私の病気はいまでこそ、小児特定疾患に認定されましたが、このころはまだ認知すら十分ではない時代でした。また私自身の病名もはっきりついていませんでした。入院費、手術費用、先生(そしてチーム全員)へのお礼…全部自費です。    私はいまだに、そのとき両親が負担した金額をはっきりと知りません。家が一軒建つのではないでしょうか。    ただ一ついえるのは、莫大なお金と引き換えに「生かされて」いるということです。苦労した両親のためにも、もらった命は大事にしなければ。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

335人が本棚に入れています
本棚に追加