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ーー翌日。
いつものように朝が訪れ、いつものように彼の執務室には人が賑わい始めていた。
昨夜は遅くまでゼルと話し合ってしまったため、少しばかり寝不足気味だが任務を遂行するには支障ない程度だろう。
念入りに怪我の治療をしてもらったお陰か痛みも熱もすっかり引っ込んでいるようだ。
むしろもうすぐ全てが終るのかと思うと清々しくさえ感じられる程である。
「お早う、アルミラ」
彼がいつものように笑顔を見せながらアルミラと会話を交わしていると、執務室に乾いたノックの音が響く。
「カイル、いる?」
それはティリスの声で、彼はアルミラと視線を交わすと明るい声で応える。
「あぁ。いるよ」
その声を合図にドアが開くと、少し申し訳なさそうな表情をしながらティリスが中に入ってきた。
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