第六章・―決戦の時―

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 それを見た彼は安心させるためなのか、笑顔を見せるとティリスの頭を優しい手付きで撫でながら言った。 「接見が終了した後、話したい事があると言って、シュトルツ王子を部屋に誘ってくれないか」  例え強引にでも誘い込まなければ話は進まない。  そのためにはまず、シュトルツの時間がないという焦りを刺激しなければならず、そうするためにはこちらからの餌が必要となってくる。 「えぇ!? ……嫌よ、そんなの」  珍しく無茶な要求をする彼に、案の定ティリスは心底嫌そうな声を出して抗議する。  アルミラも黙ったままではいるが、定位置につきながらもやはりそのやり取りを不安そうに見詰めていた。  少なからず抵抗にあうだろうとは思っていたが、こうまで拒否されてはといささか困ったような表情になりながらも、ティリスにはこれ以上包み隠さず真意を告げる。
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