第六章・―決戦の時―

22/33
前へ
/215ページ
次へ
 その日の夜、急遽執り行われたティリスとシュトルツとの接見は、準備時間の短さにも関わらず華やかなものとなった。  豪華な食事の場には厳かに音楽が流れ、今までのトラブルが嘘であったかのように、つつがなく進んでいく。  その場にはサウスパレス王国の国王を含め、接見の当事者であるティリスと、当然の事ながらゲストであるシュトルツも出席していた。  本来ならば警備として重要な役目を負う筈の彼の姿はなく、彼の部下であるルヴァンが全ての指揮を執っていた。  幸いシュトルツも、国王までもが集う場で派手な動きをする気はないようで、特に小細工を弄する様子も見せないままに食事は終了する。  接見終了後、ティリスが彼の言いつけ通りに、シュトルツとの密会の約束を取りつける事に成功した深夜の事である――。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1810人が本棚に入れています
本棚に追加