第六章・―決戦の時―

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 しかし残念なら、予想に反して鍵がかかっていたようで、ノブは素直に回ってくれなかった。  僅かにでも開いているという期待をしていたらしいのだが、そうでないと知るや否や影は小さく舌打ちする。  そうしてその場にしゃがみ込むと、今度はノブに何か細工をし始めたのだ。  しばらくは小さく音を立てながら何やら手を動かしていたが、その内にノブの周辺が小さく光り始める。  やがて鍵穴の中に光が集中したかと思うと、何かがはじける軽快な音が辺りに響いた。  その音を合図に、影は用心深く一度周辺を見回してから立ち上がり、再びノブに手をやりゆっくりと回す。  すると今度は呆気なくドアが開き、影が素早く中に入ったところでタイミングを計ったように真っ暗だった部屋の明かりが、侵入者を待ち構えていたとばかりにぱっと点いた。
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