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細く長く続く廊下を、足音を響かせながら漆黒のマントに身を包んだ騎士が歩いている。
彼の名は、カイル=グランデという。
吸い込まれそうな漆黒の瞳と髪を持つ彼はその先に見える、荘厳な扉の前で立ち止まると長いため息を吐く。
立っているのはサウスパレス王国の国王との、謁見の間に続く扉の前である。
呼び出されてきたのだから、ノックの後に入ってしまえば目的の相手、国王と出会えるのは分かっている。
だがその行為は彼の乗り気でないらしく、扉を見詰めた彼は、少しでも時間稼ぎをするかのように再び大きなため息を吐く。
悪足掻きはらしくないと理解はしているのだが、彼の足取りを重くする理由はきちんとあるから、仕方ないとも言えるのだ。
ともかくも、そうしてしばらく立ち尽くした後決心を固めたのか、彼は背すじを正して扉をノックした――。
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