第六章・―決戦の時―

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 一連の動作を余す事なく目で追いながらも、敢えて咎める事もせず同じように脇に差している剣に手をかけながら、挑むようにして応えた。 「シュトルツ王子、貴方の方こそ、この部屋にはどのようにしてお入りになられたのですか」  乗ってくれなければ無意味に終わる使い方である、一か八かの賭けではあったがこの場は彼が勝ったのだ。  シュトルツはまんまと罠にかかり、手持ちの魔法石で“施錠”の魔法を破壊してくれたのだからーー。 「成る程。その事を問うために、わざわざこの部屋を魔法石で施錠してあったのか」  放たれた言葉だけで彼の真意を掴んだのか、肩をすくめ納得したように頷くシュトルツの表情には、何故かまだ余裕の色が表れている。  何やら秘策でもあるのか、柄に手をやりその刀身を僅かながらに覗かせながら彼を挑発するように、意味深に口の端をつり上げた。
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