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彼もまた、いつでも相手の動きに対応出来るよう構えると、珍しく不敵な笑みを見せる。
「御承知の上とは存じますが、現在展開しております一件は極秘に進んでおります。そのため万が一どちらかに何が起きても、何処にも累は及びません。ですが、敢えて言わせて頂きます。どうかこの縁談、シュトルツ王子の方からお引取り願えないでしょうか」
願い事はなるべく丁寧に、だがシュトルツが不貞を働いた事実を逆手に取りそこを上手く突き、穏便に済ませようというつもりなのだろう。
彼が深く一礼するのに、シュトルツも動きは見せない。
そう言われても即座に否定も拒否の姿勢を取る風でもなく、シュトルツは同じ体勢のまま束の間悩む風を見せた。
彼の真意が何処にあるかを理解しかねているのか、はたまた本気で破棄の方向も検討しようと悩んでいるのかは分からない。
だがとにかくしばらくは二人の間に沈黙が流れ、やがて結論が出たのかシュトルツが先に口をひらく。
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