第六章・―決戦の時―

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「……貴様、今後私を敵に回す覚悟でそう言っているな」  いくら公の場ではないとはいえ、王族というよりはシュトルツ個人の言葉を、例え丁寧にでも退けようというのだから、相応の覚悟はしている筈だ。 「もとより当然の事」  予想に違わず、間髪入れずに彼がそう答えるのが気に入らなかったのか、シュトルツが僅かに眉をひそめる。  そうしてそのまま無言を貫く代わりに、素早く刀身を抜き出すと一歩踏み出して容赦なく斬りかかる。  いきなりの攻撃を予測していたのか、彼の方も素早く刀身を抜き出すとお互い刃を交わす。  金属のぶつかり合う耳障りな鋭い音と共に、周囲に火花が飛び散った。  激しくぶつかりあった二人は互いを押し退ける形でにじり寄り、睨み合いながら会話を続けるのだ。
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