第六章・―決戦の時―

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 やがて防戦一方で堪え切れなくなった彼の背中が壁に付くと、シュトルツは不敵に笑い彼を蔑む表情で嘲笑する。 「これで終わりだ!」  構えた剣も難なく払い、確かにその一振りで決着がつく筈であった。  だが、彼に諦めの色はなく、それどころか小さく笑うのを視界の端で捉えるーー。 「ライトニング!!」  そう、シュトルツの凶刃が届くよりも速く、自らの顔の前に刀身をかざしながら、迷う事なく思い切り光の呪文を唱えた。  まさかここで魔法を使われるとは予想だにしない展開で、しまったとばかりに目をとじる間もなく、室内の光よりも眩い光源が眼前に発生する。  それこそ間近で、しかもまともに光を食らったシュトルツは瞬間的に視力を奪われ、痛みともつかぬ感覚に襲われ、咄嗟に両目を覆うせいでその場に剣を取り落としてしまった。
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