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だからこそ彼は、少しでも早く事を進めるために、続きを言いにくそうにしているガンダル王に対して問いかける。
「それで、肝心の御用件は」
「実は、な。……娘の、ティリスの事なのだが」
その名前を聞いた途端、今まで微動だにしなかった彼がわずかに反応を見せてガンダル王を見る。
するとガンダル王は、小さく頷いてから続けた。
「あの娘に、縁談の話が持ち上がったのだ」
「それは……。大変複雑な心境ではありますが……。それでその、お相手とは一体?」
国王の一人娘であるティリス姫の縁談話を素直に喜べないのか、彼も言葉通り複雑な表情になる。
「うむ。相手か。相手はな……。何というか……」
そうして聞きたくない事柄でも聞くかのように、言い淀むガンダル王に先を促した。
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