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ガンダル王も理解はしているらしく、促され一度空気を一新するために咳払いすると、表情を引きしめる。
「先方からの強い要望もあってな。縁談の相手は、デストロイ王国のシュトルツ王子なのだが」
全て聞き終えた彼の動きが不自然に、しかも完全に止まってしまう。
それを機に、二人の間に奇妙な沈黙が流れるが、やがてしびれを切らしたように先に口をひらいたのはガンダル王の方だった。
「だからなカイル。お前には今回、先方が気分を害さないよう。尚且つ、先方の方から縁談話を断るように仕向けて欲しいのだ」
かなり無茶な要求をしている事はガンダル王にも理解出来ているのか、語尾が小さく、聞こえにくくなっている。
苦笑いをしながらそう言ってくる国王に対して、彼はしばし沈黙を保った後、これから起こるであろう、予想出来る事態を口にする。
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