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謁見の間を出てから中庭に面している廊下の真ん中を、何もしていないのに、既に疲れきった表情で歩いていた。
国王であるガンダル王の方から謁見を申し出された時から半ば分かっていた事だった。
十中八九良い話だと思ってはいなかったが、だからといって、彼にとってここまで悪い要求が出るとは思ってもみなかったのだ。
先刻ガンダル王が口にしていたデストロイ王国は、治安の関係からサウスパレス王国とは和平を結んでおらず、向こうから縁談話が持ち込まれるなどというのは、本来ならば縁遠い事なのだ。
デストロイの民は血気盛んな戦闘民族で、普段から争いや流血沙汰、命に関わるような事件が絶えない。
そんなデストロイ王国に、ガンダル王としては大事な一人娘を絶対に嫁がせたくないのだろう。
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