第一章・―騎士と無理難題―

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 だから彼にも、その縁談話を退けろという国王の気持ちが痛い程に理解出来る。  だが同時に彼は、相手の気持ちを傷付けないようにしながら、且つ相手の方から断るように仕向けろという要求にはさすがに無理があるだろうと思うのだ。  そんな便利な方法があればガンダル王自身が即座に実行に移しているだろうし、彼がこうしてここで悩む必要もないのだから――。  引き受けてしまった以上は、どのような手段を以てしても任務を成功させなければいけない。  早くも前途多難な空気を飲み込み前向きに考える事にする。 「いつもながら、無茶な要求をしてくれる……」  一人そう呟きながら、それならばどうすべきかと思案しつつ彼が突き当たりの廊下を曲がろうとしたその時、丁度前方から走ってきた人影と勢いよくぶつかってしまったのだ。
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