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しょうがない…
期待に応えて聞いてやるしかないか…
あんまり興味がないことを聞くのは気持ちいいもんじゃない。
しかも亮太が言いたいであろう内容はなんとなく先が読めてしまうからなおさらだ。
「で、何があったの?」
無表情に聞いてみる。
「実わぁ…。」
待ってましたと笑顔を見せながら亮太は加奈子と初体験を済ませた事を詳しく丁寧に話してくれた。
僕、そこまで聞いてないのに…
「どうだぁ!羨ましいだろう!!あんなことやこんなことまでやっちゃったもんね!!」
はぃはぃ。
「良かったねぇ。」
人間、興味のない事に対しては素っ気無く対応できるものである。
そんな僕をつまらなさそうに見ながら亮太が聞いてきた。
「蓮は彼女作らないのか?」
「今はいらない。」
「ふ~ん、蓮て意外に硬派なんだな。」
亮太は僕が『ゲイ』であり、5つも年上の龍一と付き合ってることを知らない。
確かに、クラスメイトの大半は男女に限らず彼女or彼氏を作り思い思いの恋愛を楽しんでいるから…
相手のいない少数派の僕のことが気になるんだろう。
「う~ん、そういうのじゃないんだけどね。」
適当に答えると僕はカバンの中からバイブってる携帯を取り出した。
あっ…
龍一からだ。
『蓮!今日も勉強頑張れよ!!』
亮太の面白くもない自慢話の後に大好きな龍一からのメールを見たものだからテンションが半端なく上がる。
「あれ?嬉しそうな顔して誰からメール?」
顔に嬉しさが出てしまったのか亮太がちゃかしてくる。
「内緒!亮太の知らない人!!」
亮太も龍一とは面識が会ったが龍一から来たメールを見て喜んでると知ればきっと疑問に感じるのはあきらかだ…
これが他人にばれては僕の高校生活は暗黒の日々に突入してしまう。
だからこそとっさに嘘をついてごまかした。
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