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「孝太ぁ、何の話してたの?」
先に教室で座談会をしていた男子メンバーの中に僕も入る。
「あぁ、昨日のドラマの話!ヒロインの○○ちゃん、超可愛くない?」
「あぁ、あのドラマね!」
観ては居なかったが学校でも話題の絶ええない人気ドラマなのでなんとなくは知っている。
ヒロイン役の芸能人は元グラビアアイドルらしく、女性に興味のない僕にはなんとなく顔が浮かんでくる程度…
可愛いかどうかなんてわかるわけがなかった。
「あれ?蓮は興味ないの?○○ちゃん、超可愛いのに。」
「あれ?孝太こそ、その○○ちゃんと僕とどっちが可愛いわけ?w」
笑いながら孝太をからかう。
「うひゃ!ヤベェ!!俺ん中では蓮のがタイプ~!!w」
孝太も笑いながら僕の冗談にのってくれた。
この年頃の男子たちは微妙なのかもしれない。
事実「ホモ」って言葉には敏感に嫌悪感をあらわにするが…
冗談交じりのネタだと同性愛ネタが好きなのかノリがいいから…
ホント困惑してしまう。
今、話している孝太も実は『ゲイ』なんじゃないか?と疑いたくなるくらい僕にモーションをかけてくるからマジで困りものだ。
きっと、今は面白いから話のネタに同性愛を絡めてるが…
本気でカミングアウトすればきっと気持ち悪く思うに違いない。
きっとそうなんだ。
予鈴がなるまで昨日のドラマ話からありえない方向へ脱線し何の話をしてるのかさえわからなかったが笑いの絶えない座談会は続いた。
孝太なんてガチで僕に抱きついて来るんだからウケる。
「蓮ちゃん、男でも我慢するから僕と付き合ってぇ~!!」
こいつマジで『ゲイ』だったらウケる…
同性愛ネタを広げに広げる孝太を見て半ば苦笑しながらも…
「我慢するってありえないし!!」
僕は孝太に反撃する。
それを見ながら周りのクラスメイトも笑っていた。
僕の高校生活は順調だったのだ。
あの事件が起きるまでは…
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