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数ヵ月後、幸樹は教室からいなくなった…
僕はなんとなく学校に通い続けている。
幸樹とは学校で会えないが…
バイト先が今も一緒なので出勤すればいつも通りの幸樹が店に居る。
いつもの幸樹と違う…それは幸樹がアルバイトから契約社員として昇格した事だった。
幸樹は契約とは言え、社員になってからすごく楽しそうだ…
そんな幸樹が羨ましかった。
そして僕も人生初の挫折を味わう。
親にはもちろん、亮太や孝太…
そして幸樹に何度も相談しながら僕は学校を辞めることにした。
『学校が面白くない。』
それも大きな原因だったのだが…
人間関係に躓いたのが一番の原因だった。
学校の生徒にGayBarへ入っていく所を目撃されてたらしい。
誰が目撃したのかは最後までわからなかったが…
その噂が広まるのはとても早く…
周りの冷ややかな目に僕は耐えられなくなっていた。
一番仲が良かった幸樹もいなければ…
僕を『ホモ』と罵る人間も少なからず居た。
そんな学校の人間関係に正直、いたたまれなくなったのだ。
父である晃は最期まで反対してたが…
母親の幸江は「自分の人生だから好きにしなさい!お父さんにはわたしから話してあげるから…」と僕の選んだ道を応援してくれた。
幸樹と違い、僕は契約社員にはならずバイトとしてショップ店員としてのスキルを勉強する事にした。
安い時給で長時間働くのは決して生易しいものではなかったが…
それなりに充実した毎日を過ごす事が出来た。
学校を辞める事は僕にとってかなり挫折の念を残したが、充実した毎日が少しずつ僕の挫折感を取り除いてくれていた。
辞めたとは言え、同じ学校に居た幸樹には遅かれ早かれ僕が『ゲイ』である事がバレるかもしれない。
なんとなく亮太と被る幸樹なら理解してくれるかもしれない。
そう思った僕は幸樹にだけ『カミングアウト』を済ませた。
かなり緊張してなかなか切り出せなかったが…
なんとか自分が『ゲイ』である事を話す事が出来た。
僕の告白に「あは!ウケる!!冗談だろ?」と幸樹は軽く引いた感じだったが…
最後にはなんとなく理解してくれたみたいだ。
「まぁ、お前の好きなようにすればいいんじゃない?」
そう言ってくれた。
幸樹に『カミングアウト』してから暫く経つが彼はなんら変わった様子はなかった。
とりあえず、今回の行動は失敗することなく…
うまく運んだので僕は満足だった。
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