【普遍の地】

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僕は『椎名 蓮』しがないショップの店員をしてる三十路間近の社会人。 性別は…たぶん男。 見た目は童顔で体つきも華奢。 セミショートの髪型からなのか… 着ている服もレディースブランドのタイトなものが多いせいかはわからないが… たまに女性と間違われる。 まぁ、それを除けばどこにでもいそうな人間と言えなくもない。 ちょっと周りの男性人と違うところがあるとすれば… 恋愛対象が自分と同じ男だという事だ。 僕は『ゲイ』と言うジャンルに分類される人間らしい。 初めて『ゲイ』と言う言葉とその言葉の持つ意味を知ったのは中学2年の時。 そこから僕の人生は大きく変わっていく… 中学の時『ゲイ』と言う秘密を知ったクラスメイトに軽蔑され陵辱された暗黒の時代もあった… そんな僕にも高校に入り、初めて彼氏と言う存在が出来た。 初めての彼氏は年上で優しくて穏やかな波のような人だった。 静かに打ち寄せる波に僕は身をゆだねた。 しかし、その恋も長く続かず… 最初の失恋を体験する。 次に僕を受け止めてくれたのは同級生の彼氏だった。 明るくてあたたかくてお日様のような人だった。 僕の失恋で凍りついた心を徐々に溶かし僕に暖かな日差しを常に与えてくれる存在だった。 時は随分流れ… 今、僕は此処にいる。
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