63人が本棚に入れています
本棚に追加
「まだ若いんだから!」
咲ママはそう言ってくれるが…
この若さも永遠に続くわけじゃない。
彼氏の孝太とだってこの先そうなるかなんてわからない。
そんな不安からか僕は軽く苦笑いして表情を崩してしまう。
あぁ…
僕ってハッキリしないなぁ…
その日は終電で帰宅。
帰ってから孝太に帰宅した事をメールで報告し眠りに着いた。
翌日、いつも通り学校に向かう。
駅で幼馴染の亮太に会った。
亮太は高校を卒業した後、現役で大学へ進学し2回生となった今も毎日が楽しそうだ。
そんな亮太が僕は羨ましかった。
僕も孝太と同じ大学へ行けば良かったなぁ…
目の前で楽しそうに大学で体験した最近の出来事を話す亮太を見ていると専門学校へ進む事を決めた自分の決断を悔いてしまう。
高校の時、亮太は理系、僕と孝太は文系の進学クラスで勉強していたし、僕の成績もそんなに悪いものでもなかったから…
大学への進学を希望していれば孝太と同じ大学に在籍していたかもしれない。
それを思うと自分の決めた進路が恨めしく思えて仕方がないのだ。
まぁ、後悔先に立たずってやつなんだが…
亮太と途中まで同じ電車で色々とお互いの近況を報告しあい目的の駅で電車を降り、一人学校に向かった。
今日の朝一で取り組む授業は『洋裁』。
元々、服飾に興味があった僕にとって授業の内容は素敵なものなのだが…
授業についていけてないのがネックで…
その日も気が重かった。
仲の良いクラスメイトは居たが、自分の居心地の良い存在が学校内には居なかったのが原因なのかもしれない。
イマイチ、勉強に身を入れることが出来なかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!