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「よぉ!椎名!!」
学校に着き、教室に入ると同じデザイン科の幸樹が話しかけてきた。
幸樹は1つ年上のクラスメイトでバイト先も同じ。
なんとなく亮太の性格と被るあっけらかんとした奴。
僕にとってはこの学校で一番仲の良い友達だ。
「おはよ!幸樹!」
「今日の洋裁で使う型紙出来たか?」
「うん、一応…昨日…バイトの休憩時間に仕上げた。」
自分のトートバックから型紙を出すと幸樹に見せながら答える。
「なんだ、あんときやってたのか。」
幸樹は僕の仕上げた型紙を見ながらなんやらかんやら自分の意見を話していたが耳に入ってこない…
あぁ…今日も面倒だなぁ…
僕は目の前のクラスメイトや型紙より窓の外に流れる雲を見上げながらボ~ッと空を眺めていた。
午前中の授業をなんとかこなし…
昼休み幸樹と外へ食事に出る。
僕は弁当持参だが幸樹はコンビにでおにぎりを購入し学校の裏にある公園で昼を済ませた。
「椎名、俺さぁ…学校辞めるかもしんない。」
突然、幸樹は軽いノリで僕に重大な事を告白してくる。
「え?なんで??」
いきなりの発言に僕は内心驚いた。
「なんか、意味ねぇなって思って…なんかこんなつまんねぇ毎日送るなら…ちゃんと仕事して稼ぎたいんだ。」
幸樹は真っ直ぐ前を見つめ僕に自分の気持ちを打ち明けてくれた。
「そっか…。そうかもしれないねぇ…僕も最近、面白くないんだ…」
僕は幸樹につられたのか自分の今の気持ちを素直に話す。
「椎名も同じだったんだ…」
幸樹はちょっと嬉しそうな顔をすると一人教室へ戻っていった。
僕も辞めようかな…
そんな誘惑を僕に残しながら…
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