せどり入門編~大手古本販売チェーンで背取り~

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頭が痛い。 今日の出来事が不可解すぎて、脳が情報処理に戸惑っているのかもしれない。 だってほら、めまいまでしてくるし。 「なにをしているのだね陸殿。 早く信号を渡り給え。」 背中から囁き声が聞こえてくる。 陸の背負ったデイバッグの中に、例の喋る猫が入っているのだ。 むろん、望んでやっている訳ではない。 猫は勝手にバッグに入り込み、駅の北口まで歩くよう言ってきた。 あの老人の姿の貧乏神が、今度は猫に化けた。 はじめはそう思った。 「それは違うぞ陸殿。 ワシは元々猫じゃ。 長いこと生きるうち、色んな事を覚えたのじゃ。 人に化けたり、言葉を得たり、人の心を読んだり… 年の功、ってやつかの?」 いや、それ違いますから。慣用句として、若干引用ミスですから。 要は化け猫で、なおかつ貧乏神か。 とんでもないモノに憑かれた気がする。 「ここじゃ。 陸殿、この店じゃ。ここに入りたまえ」 「は?ここ?」 陸は看板を見上げた。 『ブッキング・オン』 大手古本販売チェーン店だった。
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