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「何する気だ?
まさか本を売る気か?
バッグの中のやつはダメだぞ。講義で使うのばっかりだから」
「違う。逆じゃ。
本を買いにきたのじゃ」
買いに………きた。
とっさに陸はデイバッグを下ろし、中にいるフノカミを引きずりだした。
「ふっざけんな!
買い物するヨユーなんか無えよ!
残金、108円しかないんだよ!
……てかお前、バッグの中でパン耳かじるな!
カスが落ちるだろうが!」
フノカミはいたって涼しい顔で答えた。
「108円か。それなら十分じゃ。
せどり。
せどりをするのじゃよ。
この店は、105円で本が売られているであろう?
ワシが選んだ105円本を買うのじゃ。
もしもそれが嫌だというなら……
……ワシの正体を知った以上、ただではおかれぬな……」
フノカミの目が妖しく光を放った。
ニヤリと笑った口は驚くほど赤く、ことのほか鋭い牙がのぞいていた。
自販機を狂わせた“チカラ”が頭をよぎった。
「…わかったよ…
本は買うけど……
せどりって、何だ?」
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