せどり入門編~大手古本販売チェーンで背取り~

4/7
163人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
―――せどり。 漢字では『背取り』と表記する。 『背』とは背表紙の事。つまりは本のタイトルを指す。 古本屋の店先を回り、めぼしい本の背表紙を見つけて棚から抜き取る。 だから縮めて『背取り』。 “めぼしい本”。いわゆるプレミア本。 値打ちがあるにも関わらず、気付かれず安く売られている本を見つけるのだ。 そうやって『背取り』した古本をどうするかと言うと、 別の古本屋に持ち込み買い取ってもらうのである。 自分が購入した額よりも転売した買い取り額が大きいと、利益になるというわけだ。 100円で買った古本が、500円、1000円、あるいは定価より高い値段が付けられることもある。 「わかったかね陸殿。それが、せどりじゃ。 こういう大手古本チェーンは、本の買い取り額が一律に決められている。 発売から間もない本は定価の3割とか、 何年も前に出た古い本は一律数十円とか。 本のもつ付加価値が評価されとらん。 だから、お宝本が眠っている可能性があるのじゃ。 さ、ワシの言うとおりに進むがよい。…マンガ本あたりがよいかの」 そう言ってフノカミはバッグの布越しに陸の背中を押した。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!