プロローグ

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風が吹き、桜の花びらが粉雪のようにふわりと舞っていた。 幻想的な光景だった。 その日は、まるで夏を思わせるように暑い日だった。 暦の上では春の筈なのに太陽は今は夏だと言わんばかりにギラギラと地上を照らしている。 僕は、いつものようにジャージにサンダルというラフな格好で最近できたスーパーに行くために人通りの多い駅前をぼんやりと歩いていた。 ちょうど学校が春休みでやることもなくだらだらとパソコンをいじったりして過ごすのが最近の日課になっていた。 出掛ける用事と言えば、今みたいに食料を買い込むためにスーパーに行くくらいだ。 僕は、歩いているうちにだんだん暑くなってきてジャージを着てきたことを後悔し始めた。 襟のあたりを掴んでばたばたやりながら歩いていると大分散ってしまった桜並木が見えて来た。 この桜並木は、満開の時にはなかなか見応えがあるのだが今では、所々で青い葉が見えてしまっていてなんだか春の終わりを告げているようだった。
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