序章 

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ハァ、ハァ、 空が藍色に染まった頃 6歳くらいの幼女をおぶった少女は只ひたすら走っていた。 長い時間走っていたからだろうか少女の足は皮がむけ、血が出ている。 それでも走り続けている少女の前に突然黒が現れた。 その黒は怪しく誰も近付きがたい雰囲気をした男だった。 少女は驚きと怖さのあまり体中が震え、 殺サレル そう思い目をぎゅっと固く閉じ、女の子を背負っている力をより強くした。 【君達ハ生キタイカイ?】 感情のない無機質な声が辺りを支配する。 それを聞いた少女は目を見開き男を見上げると、そこには何もかも見透かしているような銀色の目が少女を映し出していた。 「い、きたい…生きたい!」 【人間デナクナッテモ?】 またしても聞こえた声に少女は答える。 「俺達は、もとから化け者だ。今さら人も何も関係ない!」 怒鳴るような声に男は微かに口角を上げ少女に聞こえないよう囁いた。 【契約成立ダネ♪】 …と .
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