1188人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「あのね、あのね夢ちゃん!」
あたし達が使う同じ教室は、げた箱からほんの少し遠い。
この季節か、秋ならいいんだけど、夏は階段を登るだけで汗だくだし、冬は寒くてやってらんない。
けれど、夢ちゃんと一緒に話してれば早く着いちゃう。
あたしの呼びかけに、夢ちゃんは声だけで反応した。
「なぁに、のの」
「ましゃ様が鎖骨キングに選ばれたよ!ホラ……っ!」
携帯の画面には、あらゆるランキングを取るサイト。
今回は「鎖骨が綺麗な俳優」だって。まぁ、ピンポイントなランキングだけど。
「あぁ、ヨカッタヨカッタ」
夢ちゃんは携帯をあたしの方に押し返すと、やっと着いた教室のドアを開けた。
「思ってないでしょーっ?!」
「……はいはい」
最初のコメントを投稿しよう!