これは僕と彼女のある朝の一幕

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今、僕は女子寮に向かっている。理由は恋人である唯湖さんを起こしに行く為。   なんでこんな事になってるのかと言うと、それは昨日…   「理樹君、明日の朝私を起こしに部屋まで来てくれないか?」   「唐突にどうしたの?」   「いや、ただ理樹君に起こしてもらいだけだが?」   相変わらず自分の欲求に素直な人である   「それって普通男女逆じやないかなぁ?」   素直な感想を言ってみたものの。   「理樹君、今のご時世そんなものはナンセンスだぞ?だいたいとある北の町じゃ従兄弟の少年に毎日起こして貰ってるという 寝ぼすけな女の子も居るんだからな」 「でも来ヶ谷さんは寝ぼすけってキャラじゃないよね?」 「まぁどちらかと言うと、朝早く起きてから理樹君が寝ているベットに潜り込む方だな」 唯湖さんは本当に自分の欲望に忠実だ。 「だったら僕が起こしに行く必要無いじゃない。それにUBラインの事も有るし」 「それなら心配要らない、私から話はつけておく。安心して私の部屋に来れば良い。恋人の無防備な寝顔を拝めるチャンスだぞ?」 「いや、でもね?」 「ええいうるさいだまれこの朴念仁」 うわ、久しぶりに出たこの台詞。   「朝起きた時に、1番最初に理樹君の顔を見たいと思ったって良いじゃないか?」 「あうっ」 急にしおらしくそんな事言うなんてズルい。可愛い過ぎるよ。 「こうなったら私が理樹君の部屋に朝から襲撃するまでだ。君の布団に潜り込んで抱き締めて誰かが来ても絶対に離してやらん。朝から部屋に女の子を連れ込んだ伝説の勇者様として卒業まで崇められつつ過ごすが良い。」 しまいには洒落にならない脅迫まで飛び出した。やる、唯湖さんだったら絶対やる。 「是非起こさせてください。」 「最初から素直に言ってくれれば良かったのだよ。」
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