第8章 不登校の始まり

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母のこの騒動後、私はますます学校に行かなくなった。行きたくても、母の話でいじめられるのではないかという恐怖が私を学校に向かわせなかった。 それでも奈々ちゃんは毎日迎えにきてくれた、しかし私は顔すら出さなくなっていた。 担任の河本先生や新藤先生が来ても、私はただただ泣くだけで話する状態ではなかった。 そんなある日、新藤先生が迎えにきた。 「レイちゃん、先生とドライブしようよ。」 私は呆気に取られたが先生の車に乗り、私が好きな武田信玄と北条氏が戦った古戦場に連れて行ってくれた。 その後先生が 「レイちゃん、ある人がレイちゃんに会いたいと言ってるんだ。一緒に行ってくれるかな?」 私は何が何だかわからず先生に 「先生、誰に会うの?」 と尋ねた。すると先生は 「とても優しくて面白い先生だよ、さあ行こう。」 そう言うと私を役場の隣にある"教育研究所"に連れて行った。 そこには穏やかな表情の年配の男性がいた。そして私の手をがっちり握り 「レイちゃん、ようこそ。私の名前は守田です。」 私はいきなり握手され呆気に取られたが 「初めまして、よろしくお願いします。」 と挨拶すると守田先生は私の背中を押して 「さあさあ座って座って、美味しい紅茶をご馳走するからね。」 と言うとてきぱきと紅茶を入れる支度を始めた。 その間に新藤先生が 「守田先生は以前は校長先生だったんだよ、今は定年になられて教育研究所にいらっしゃるんだ。」 と教えてくれた。
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