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お正月から4日ほど過ぎた頃、舅から私の携帯に電話があり呼び出された。
私はいつもの愚痴かなと思いながら、待ち合わせ場所に向かった。
しかし舅はいつもより元気がない。
「お義父さん、元気がありませんね。どうかされました?」
舅はしばらく沈黙した後、
「真美子が再婚するって言い出したんだ。しかも再来週に顔見せの食事会するって・・・。」
「えっ、お付き合いしてたんですか?」
舅は困惑した表情で
「俺も知らなかったんだよ、大晦日にいきなり男を連れてきてね。いきなりそいつと結婚するって言うんだよ。しかも男から挨拶ひとつないんだ。もう何が何だかわからないよ。」
私は呆気に取られて、言葉を失った。いくらなんでも急過ぎるし、常識からかけ離れていたからだ。
「お義父さん、それで承知なさったの?」
「真美子も30過ぎた大人だからね、今さら俺がとやかく言っても仕方ないし・・・。ただ挨拶ひとつなく、いきなり結婚しますというとまた年の離れた若い男なのが気にいらないんだよな。」
義妹の前夫も7歳年下で、義妹が死産してから豹変しドメスティックバイオレンスが始まったのが原因で離婚している。それだからこそ舅は年下の男性が夫になる事を心配しているのだ。
「そうですか、それはビックリしますよね。お義父さんも苦労が絶えませんね。うちの伸治さんも含めて・・・・・・・。」
「いや、伸治にはあんたみたいなしっかり者がいるからいいんだ。でも真美子はまた懲りずに若い男と一緒になるからね・・・見た目はおとなしそうな男だけど。」
舅は深いため息をついた。私はその舅の姿を見て、年の離れた伸治と一緒になった私の事で父もこんな思いをしたのかも知れないと思った。
「お義父さん結婚が決まった以上、温かく見守るしかないですよ。後は二人の問題だから・・・・・・・。」
舅はしばらく考え込んで
「そうだよね、俺達がガタガタ言っても仕方ないよな。」
帰る時も舅はガックリと肩を落として帰っていった。その寂しい後ろ姿を私はじっと見つめていた。
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