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「確かに通常使用しない梯子を使わせてしまいました。ただ事務作業でも仕事ができるなら、休む必要がないと思いまして・・・・・・・。」
部長が言い訳を始めると専務が、
「そうなんですよ、奥さん。労基が入ると手続きが大変ですしね、仕事できるのに休むのもねぇ・・・・・・・。」
私は彼らの言い分に耳を傾けた後、
「皆様は安静という意味をご理解頂けていないようですね、安静というのは自宅で静かに静養するようにという医師の指示です。つまりドクターストップなんですよ!あなた方はドクターストップを無視なさるおつもりですか!!」
私が強い口調で言うと専務達は驚いたように顔を見合せた。
「いや、しかし奥さん・・・・・・・。」
課長が口を挟んだが、私が
「もしあなた方がドクターストップを無視して主人に仕事をさせるなら、今から主人を連れて労働基準監督署に行き一緒に現場検証して頂きますよ。私もヘルメット被って、安全靴をはく位平気ですから。」
私の言葉に専務達が気圧されて、黙り込んでしまった。伸治はずっと下を向いている。
専務は苦虫を潰したような顔で
「わかりました。明日から最低10日間は休んで養生して下さい。ですから、労働基準監督署に行くのはご勘弁願えませんか。」
専務達は頭を下げて私に言った。
「わかりました。では痛みがひくまで主人は休ませて頂きます。」
こうして私は専務達を説き伏せて、会議室を出ようとした時に専務達は私達に深々と頭を下げた。
そしてリーダーに自宅まで送ってもらった。
伸治は
「本当にお前は強いよな、普通あそこまで言えねぇよ。」
「パパが情けないだけよ、だいたいすぐに病院行かなかったパパが悪いんだからね!!」
私に叱られ伸治は首をすくめて、
「悪かったよ、これからはそうするよ。」
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