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別居して2ヶ月が過ぎた。アスカはすっかり両親の孫のような存在になり、久しぶりの平穏が訪れていた。
そこで私は近所の会社にパートに出て働き始めた。そして唯一の楽しみはSNSでいろいろな人とコミュニケーションを取る事だった。
そんな時に伸治から電話が来た、その声は切羽詰まっている。
「レイ、頼むから帰って来てくれないか?お願いします。」
「私が帰ってどうするの?またウソついたりされるのが関の山だと思うけどね。」
私がそう突き放すように言うと伸治は半泣きで、
「もう絶対ウソついたりしないし、お金の管理もレイに任せるから。頼むから帰って来て。」
「しばらく考えさせて。」
と一言言っただけで私は電話を切った。
そして両親と伸治からの電話の内容を話した。
「お前、まさか帰るつもりか?」
父が聞いてきたので
「様子見に帰ってみようかな、反省してるみたいだし。離婚するにしても荷物を全て片付けないと。」
「あのバカが反省なんかするもんか、どうせまた裏切られて終わるぞ。」
「それならそれで今度はきちんとカタをつける。とりあえず行かせてくれないかな?」
父は呆れたように
「だったら好きにしろよ、ただしバカが変わってないなら速攻離婚してカタをつけるのが条件だ。わかった?」
「うん。」
私はアスカを連れて、伸治のところに戻っていった。
伸治は私とアスカを見て喜んだ。しかし部屋の中に入って驚いた。
私が結婚する時に持参した電化製品やゲーム機やゲームソフトが1つもなくなっていたのだ。
「私が持ってきたものが何もないじゃない?どういう事?」
私が問いつめると
「質屋に入れた、お金なかったから・・・・・・・。」
私は帰って早々怒りが爆発した。
「あれはみんな私のものよ、それを勝手に質入するなんて許されると思う?窃盗と変わりないじゃない!!」
「だって俺の家に持ってきたから、俺のものかと思った。」
と伸治は勝手な理屈を言い出した。
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