†永遠のまろうど†

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眠りの海からふわりと浮き上がり、私は目を覚ました。 奇妙な夢を見た。象徴的で、抽象的で、いっそ暗示的だった。 すっきりと目覚めたが、癖で形式的に目を擦る。はっきりした視界に、真っ暗な部屋が映し出される。 時計は5時半を指している。 精緻な装飾の陶器の時計。それが置かれたチェストも、よく磨かれた高級なものだ。 豪華な調度品、広々とした部屋。 使用人である私には勿体無いと何度も言ったのだが、お嬢様はどうしてもこの部屋を使って欲しい、他に使う人も居ないし折角だから、と譲らなかった。 確かにこの部屋はお嬢様の部屋の隣。体の弱いお嬢様に何かがあった時すぐ駆けつけられるのが最優先なので、この部屋を使っている。
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