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12歳の誕生日を迎えたばかりの私は川沿いの土手の道をとぼとぼと歩いていた。
5歩くらい前をパパが煙草を吸いながら歩いている。いつもならマナー違反だからって歩き煙草なんかしないのに。
喪服を着たパパは、普段着の時よりも背が高くがっちりして見えて 知らない男の人みたいだった。
私の少し後ろを
幼なじみの勇太がやはり、喪服を着て歩いている。
遠慮がちに離れているけど、歩調を合わせて寄り添うように足音が聞こえてくる。
パパが鼻をすすり上げる音が聞こえてきた。
今日は私のママのお葬式の日だった。
パパが鼻をすする音はとめどなく続き、おそらくすすり上げる鼻水よりも沢山の涙がパパの頬を濡らしているだろう。
結婚して私が生まれてからも、ずっとパパとママは恋人同士のように愛しあっていた。
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