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一番最初に奴と出会ったのはただのすれ違い。
ほんと偶然の。
俺は男女関係なく身売りをしている職柄、人物を覚えるのは得意だった。
一種の職業病なくらい、明確に。
今までヤった相手の顔は忘れていない(し名前を知っていれば名と顔を線で簡単に結び付ける事が出来る)
まぁ、そんな俺でなくとも奴とすれ違えば誰でも記憶にこびりつくだろう。
奴は見た目も腐っていた。
幼げな顔をきらびやかに飾る数多くのフェイスピアス。
うずまきに刈り取られたピンクの芝生ヘアー。
所々紅に染まっているダボダボの白いパーカーに青のジーンズ。
まるで「私、イカレてます」と書かれた看板を首から下げている様だった。
奴とすれちがった後振り向く奴は誰もいない。
否、振り向けなかったのだ。
強烈過ぎる映像にその場の空気が凍り奴だけが平然とした顔で通りを歩いて行った。
正直二度目が無い事を普段ならば中指を立てている神へ俺は祈った。
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