春の陽気に誘われて

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ポカポカ陽気に優しい風が流れる春の世界。 今は昼休み、この時が学院内で一番季節を感じられる時間帯だ。 周りの鳥達は、春を喜ぶように飛び周り花と共に風と流れている。 その中にはチャー坊もいて家族で凄く楽しそうだ。 そして、もう一人。 るん♪るん♪るん♪と軽快な足どりで軽いリズムを立てる女の子。 ニコニコスマイルを向けながら(誰に?)楽しそうに廊下を歩く。 髪を軽く結んで両側からでているピョン髪が、その少女の心に合わせてピョコピョコと動いている…ように見える。 ふとっ、彼女は足を止めた。そして… 「暇、だ~~~~」 叫んだ。もうこれ以上なく叫んだ。自分の全てをさらけ出すように、おもいっ!っきり叫んだ。 心の中で。 …そう、瀬川泉は今、ものすっごく暇をしている。 その理由とは、例外はあるだろうが、まあ例によってはあの二人がいないからで、 「美希ちゃんも理沙ちんも、風邪で休みだなんてぇ」 ハァ~っと溜め息をつく泉。 結ばれた髪もシュンッと下にうつ向いた。 「バカは風邪ひかないのにぃ~」 おいおい!それはちょっと失礼なのでは!…まあ、ホントのことだけど。 「つまんないぃ~~~~」 再び叫んだ泉。もちろん心の中で。 「ハヤ太くんもいないしぃ~」 ハァ~っと、本日二度目の溜め息をこぼす。この調子でいったら、間違いなく自己ベストを更新するだろう(何の?) 「何かないかな~♪」 そう呟きながら、泉は『楽しいモノ』を探した。 さっきまでは暗い表情をしていたのに、今ではもう『楽』の顔だ。 (この娘って、ホントに表情がコロコロ変わるなぁ~) と、若干30歳?の窓が皆さんの言葉を代弁してくれた。 「あっ!!」 (えっ!なに!?) と急な泉の反応に驚く窓。 泉は外に何かを見つけたのか、窓に手をあてそれを見つめる。 「あれはっ!!」 キュピーンと泉の目が光る。 そして、瞬く間にその『楽しいモノ』へと走っていった。
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