序章

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 「好きです、付き合って下さい」  昔から密かに思いを寄せていたその娘に、昨日告白された。  当然、答えはイエス。  迷うことなんてない、断る理由なんてただの一つもなかった。  返事をすると、彼女は小さくありがとうと言い、頬をピンク色に染めにっこりと笑った。  そして二人で手を繋いで、冬の寒くて干からびた帰り道を並んで歩いた。  それなのに今。  俺は彼女の写真を前にただ、涙を流すことさえできずに立ちすくんでいるのだった。
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