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「疲れたな…」
大きな荷物を持つ一人の魔族が体を休めるように、木に背を預け寄りかかった
「まあ、返り討ちにしてやったからいいけどな」
魔族は上機嫌で、戦利品の荷物を物色し始めた
「また、戦ったのかロキ?」
ロキは、物色を始めてから少し経つと一人の魔族に話し掛けられた
魔族は、深紅の髪に緑の瞳をした、穏やかそうな青年だったが。鍛えられ引き締まった肢体と、腰に挿した剣が戦士の面影を醸し出していた
「別にいいだろ、ガゼル。あっちから因縁つけてきたんだから」
「そうじゃなくて、穏便に済ませられないの?」
ロキは、呆れたように笑った
「穏便?そんな言葉、魔族にはないね。お前も知ってるだろ?魔世界は、殺すか殺されるかだけだ
どんな手を使ってでも勝ち残る。それが、魔世界に…魔族として生まれた者の運命だ
正直、お前みたいに甘ちゃんな奴が、まだ生きてるのが俺には不思議でしょうがないね」
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