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あれから何年経ったのか――。
私は今、ウエディングドレスを身に纏っている。新郎は短大卒業後に就職した先で知り合った上司で、いわゆる職場恋愛の末のゴールインだ。
私はこの瞬間とても幸せだし、これからもこの気持ちはずっと続いていくような気がしている。思い描く未来は希望に満ち溢れていて、それらはちゃんと実現されていく予感でいっぱいだ。
それでも、私の初恋の相手は幼なじみのケイタで、結局最後まで本当の意味での告白も出来ずに終わったこと。
何人かの男と付き合って一時期タバコも覚えたけれど、結局禁煙を選んだこと。
その全ては今も私に繋がっていて、決して切り離したり出来ない私の一部分なのだ。苦い思い出もたくさんあるけれど、きっと、時々ふとした瞬間に思い出したりするのだろう。
例えば今、ケイタは幸せでやっているかしら、なんて、そんなことを考えてしまっているように――。
《了》
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