~過去~

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     ケイタと私は幼なじみで、 いつも一緒に遊んでいた。    いつも一緒が当たり前だったから、これからもずっと一緒なんだと、そう信じていた。      でも、私たちが当たり前だと思ってることを、周りのみんなも当たり前だと思ってるかというとそうではなくて、中学校に上がる頃には、   「二人は付き合ってるの?」   「ただの幼なじみだよ」    というやり取りをしょっちゅう繰り広げなければならなくなった。  女の子は割とそういう部分では早熟だけど、男の子の方はそうでもないみたいだから、ケイタはよくからかわれてたんじゃないかな。    私は遠慮して、いつしかケイタを名字で呼ぶようになったけど、それでもケイタは私のことを相変わらず「アスカ」と呼び捨てにしてた。登下校もほとんど一緒だった。さすがに休みの日まで一緒に遊ぶなんてことはなくなったけど、学校ではよく他愛のない会話を楽しんでいたりしたんだ。      私たちは幼なじみで、気心の知れた友達で、一緒にいることを当たり前に思ってはいたけれど、それ以上の関係になろうなんて思ったことはなかった。    きっとそれは、ケイタも同じだったんだろう。
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