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私の初恋は自覚する前に儚く散っていった。
それからのいくつかの恋も、あまり良い思い出とは言えないものだった。
ケイタは高校を卒業してから家を出たから、それから何をやっているのかは知らない。
高校の間中は彼女と続いてたらしいけど、県外の大学に進学した彼女とその後どうなったのかなんて、あまり想像したくなかった。
私は地元の短大に進学して、今は就職活動の真っ最中。その間ほったらかしにしてたひとつ年下の彼氏とは、三日前浮気をされてスッパリ別れた。未練はまるでない。
そもそもいつまでも未練たらしく誰かを想い続けるなんて、私の性に合わないのだ。
それでもひとつの恋が終わる度にケイタのことを思い出してしまうのは、私がケイタのことをどこかで未練たらしく想い続けている証拠なのだろう。
私は今、三日前に別れた彼氏から教わったタバコを吹かしながら、夕暮れの川沿いをあてもなく歩いている。
夕日が沈むまでひたすら歩き続けるのは、失恋した時の私の習性だ。
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