【悪夢の後、憂鬱な時間・弦】

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 いつもの夢に嫌な汗を感じながら、大海弦は身体を起こす。   『まったく・・・』    今日もスタートは最悪だ。    起き上がり風呂場の鏡を見ながら弦は歯を磨く。    まだまだ眠いが、大学に行く為にも目を覚まさないといけないし、準備も必要だ。    肩まで伸びた髪に櫛を通し真っ直ぐに整えると、鏡に映る自分の姿を確認する。    大きな瞳に、細い顎などを確認して調子を見ると、弦は顔を洗い始めた。    すると、    ―――ピンポン。   と、朝も早くから玄関のチャイムが鳴る。    こんな朝早くから訪れる友達はいないので、ダレだろうと首を捻る。   『は――い』    答えない訳にはいかないので返事をすると、顔を拭いて玄関へ歩く。    玄関の覗き穴を見ると、知らない男が二人スーツ姿で立っていた。   『・・・どなたですか?』    疑いながら聞く、弦。    すると坊主頭に違い男が覗き穴に笑顔を見せると手帳を、・・・警察手帳を見せる。   「私、警視庁捜査一課の品川です」   「庄司です」   「ちょっとお話宜しいですか?」    品川の隣に立つ筋肉質な男も名乗ると、品川は笑顔のまま聞いてきた。    名乗った彼等に弦はゆっくりと扉を開け、顔を見せる。   「君が、大海弦さんですね」   『・・・・・・はい』    嫌な予感を弦は感じた。    扉を開けた弦に、品川は笑顔のまま再度警察手帳を見せる。   「ちょっと、署までご同行願えますか?」    その言葉に弦は溜め息を吐く。    今日の最悪は続くらしい――。  
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