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俺は真実を欲して世界の外へと出た。
そこにあるものは全てガラスの破片で…完成されたガラスは一つとして存在していなかった…。
ガラスがこれ以上壊れぬようにそれぞれは互いをよけあう。
しかし、ガラス片は己の片割れを見つけるとそれと再び一つとなるためにそのガラス片へ近づく。
ガラス片は一つのガラスとなり、喜びに溢れている。
…しかし、それも永くは続かない。
ガラスは濁ったその身に満足出来ず、その身を己から破壊し、再びガラス片として世界へと散って行く…。
それは…無色透明にならんがため…汚れを全て拭い去るがため…。
それで純白へ近づく事はあっても、純白になることは叶わないと言うのに…。ガラスは永遠の中で幾度も己を散らし、また己を求めてさまよい続けている。
しかしガラスはガラスが望む己に成ることは叶わない。
永遠の中でガラス達は世界を創った。
それはガラスが己の汚れを落とす為に、ガラスが純真なるガラスと成るために創られた世界。
その世界は幾重の時を重ね、やがてガラスが汚れを落とす為の礎を築いた。
ガラス達は散らしたその身をその世界にバラまいた。
散らされたガラス片は意識となり、器の底へと沈んで行く。
ガラス片を入れた器は、永い時を掛けてガラスの汚れを落として行った。
器を通してガラス片どうしが交わり、ガラス片どうしが競い合うように己の汚れを落として行く。
そして、汚れを受け入れきれなくなった器は壊れ、ガラス片は再び一つのガラスとなる。
だが、ガラスはそれでも純真には成れず、再びその身を散らし、それらを世界へとバラまく。
そうして、ガラス達は永い年月をその世界で過ごした。
その永い年月は、汚れを一つとして、カオスを生み出した。カオスはガラスより純真だった。
純水で、汚れでありながら汚れを知らず、ただ何ものよりも完成されていた。
やりたいことをやり、楽しい事を楽しんだ。
そんなある日、カオスはこの楽しさをガラス達に広めようと思った。
カオスはその身をガラスのように散らし、世界へとバラまいた。
しかし、ガラス達はカオスを虐げた。
ガラスは汚れを嫌い、汚れを避け、汚れを蔑んだ。
何より純真なカオスは、ガラスの行為に悲しんだ。
悲しみはやがて憎しみに変わり、カオスは闇となった。
闇はガラスを照らす光を覆い隠した。
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