悪魔の鑑定所

プロローグ

部屋の番号と伝票の番号は合致している。

しかし、表札がでていない。このまま帰る訳にはいかないので……

少しためらいながらインターフォンに手を伸ばす。

“ピンポーン”

静かな雑居ビルの階段に、インターフォンの音が響いた。

「……」

少し間が空く。と言っても時間にして五秒程。

このビルの気味悪さと、たまにあるイタズラの可能性が相まって不安が心を満たす。

《はい。どちら様？》

インターフォンから声が聞こえてきた。

「SCピザです。お待たせしませた」

急に対応があった為、一瞬“ﾄﾞｷｯ”っと、したものの、いつも言っているセリフをインターフォンに告げた。