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暖かい風が吹き込む3月の第一日曜日。
俺は県内の市民球場の一塁側スタンドで野球を観戦していた。
今日、この市民球場では銚子シニアと茨城の鉾田シニアが試合をしている。
現在、最終回。銚子シニアのエース、神木はここまでエラーでの出塁を許しただけ。つまりノーヒットノーランという状況を展開させている。
そして、現在2アウト。バッターは鉾田シニアの4番打者、鳴瀬。
――投じた5球目。
スパァン・・・
硬式ボールとミットが触れた衝撃でミットからは乾いた音が鳴り響く。
「アウトォ!ゲームセット!」
主審の発した言葉により、試合が終了し、両チームがホームベース付近に整列した。
「・・・・・・」
『ゲーム!』と審判が宣告し、両チームが有難うございました!と大きな声で挨拶するのを、つい三週間前まで自分も行っていた行為を、ひどく懐かしく感じていた。
試合後、俺は神木、もとい光太郎の元へ行った。
光太郎は試合後でチームメイトと話していた。
(流石にこのタイミングで話しかけるのはマズイよなぁ・・・・)
俺自身、投手をやっていたから完投、完封した試合の後はチームメイトに褒められたりするのは嬉しい。
まして、ノーヒットノーランをやってのけたのだ。
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