春風に乗せて

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 俺が言うと「それはいいこった」とニコニコしながらベンチに座った。 「んで、話しってなんだ?」 「あぁ・・・・」  俺は小さく深呼吸をし、キッと光太郎の目を見た。 「光太郎。俺と一緒に星南に行かないか?」  ザザァ・・・・と木々がざわめく音がする・・・・。  俺も光太郎も、隣にいた剛志も、まるで時が止まったような感じがした。 「・・・・・・万が一、光太郎が星南に行ったら・・・・お前はどこを守るんだよ・・・・・・」  最初に口を開いたのは、剛志だった。剛志の口調は多少強張っている。 「俺は外野をやる」  俺はあくまでも淡々と語る。 ――――焦って自分を壊さないように・・・・・・。 「投手を・・・・諦めんのか?」  剛志が拳をにぎりしめていくのがわかる。 「あぁ・・・・」  俺が返答したと同時に、剛志が俺の胸ぐらを掴んできた。186センチの剛志に156センチの俺は簡単に引き寄せられる。 「投手を諦めるだと・・・・?ふざけたこと抜かすな!」  剛志は俺の胸ぐらを掴みながら揺すってきた。 「俺が全打席三振を喰らったのは光太郎とお前だけだ!そのお前が投手を諦めるだと?ふざけんな!」 「剛志!」  そんな俺と剛志のやり取りを見ていた光太郎が初めて声を発した。
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