春風に乗せて

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「やめろ剛志!それ以上絞めたらヒロが死んちまう」  我に返った剛志は慌てて手を離した。  爪先立ちになっていた俺はいきなり手を離されたせいでおもいっきり尻餅をついてしまった。 「カハ・・・ッ!痛ってぇ・・・」 「わ、わりぃ!大丈夫か?」 「あ、あぁ・・・・」  俺は乱れたたたずまいを正した。 「こういうことになるのは予想していたから・・・・・・」 「・・・・・・・・・」  剛志はそのまま押し黙ってしまった。 「俺は本気で甲子園を目指したいんだ・・・・。光太郎、それと剛志も。お前らと一緒なら甲子園に行ける」  俺は思っていた事をすべて打ち明けた。 「悪い、ヒロ・・・・。俺は・・星南には行けない」  俺の夢を打ち砕いたのは、光太郎だった。 「・・・・どうしてッ!」 俺はなんだか裏切られた気がして、声を荒げてしまった・・・・。 「ヒロ。俺は茨城の常陸学園に行くことを決めてんだ・・・・小学校の頃からな」 ――初めて聞いたよ。 「・・・・そこに・・・・・・常陸学園に何があるんだ?」  俺は聞いてみた。聞いたからといって何も変わらない。けど、それでも聞いてみたかった。 「そこに・・・・俺を待っている人がいる」 「え・・・・?」  声を出したのは剛志だった。 「お前まさか・・・・春日部(かすかべ)との約束を・・・・?」
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