春風に乗せて

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 春日部?約束?なんのことだ?俺は光太郎や剛志とは小学校も中学校も違う。 「あぁ。俺はあいつに会いに行く。・・・・だから、ヒロ。俺は星南には行けない。」 「そうか・・・・」  俺の熱くなっていたものが一気にクールダウンした。 「悪い・・・・」 「いや、約束があるなら・・・・・・俺は引き止めない」  剛志はだいぶ冷静になったようで、じっと俺達のやり取りを見ていた。 「しかし、茨城県か・・・・。試合やるとしたら練習試合か?」  俺がそういうと、光太郎は、はははっと笑い、 「バカッ!俺達が試合やるのは甲子園に決まってんだよ!」 と言った。 「あ・・・・」  はははと笑う光太郎。その後ろでくっくっくと笑う剛志。 「そうだ。そうだったな」  つられて俺も笑う。  そのあとはたわいもない話しをしていた。その中には、茨城に行くために卒業式後にすぐに引っ越してしまう事なども含まれていた。 ――時刻は4時57分。 「それじゃ、また今度会う時は・・・・」  と、光太郎が言い、 「甲子園球場で・・・・な」  と俺は言う。  剛志はそんなやり取りを微笑みながら、嬉しそうに見ていた。 「じゃあな」 「おう」  こうして1時間程の話し合いは、またライバルを生み出した。
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