春風に乗せて

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――時刻は5時08分。  俺は球場から家までの道程を一人歩いていた。すると 「あのぉ・・・・」  いきなり声をかけられた。  ん?と思い振り返ると、一人の少女、といっても、年齢は同じぐらいの少女が立っていた。 「ボール、落ちましたよ?」 「えっ!?」  俺はジャケットのポケットに手を突っ込んだ。いつもポケットに入れておいたハズの硬式ボールが入っていなかった。 「ああ、ゴメン!有難う」 「ああ、いえいえ・・・・」  そういうと少女はそさくさと逃げるように帰って行った。  俺はそさくさと帰った少女に少し呆気に取られたが、気を取り直し、また歩き始めた。  夕方になり3月の暖かい風は、すっかり冷え込んでいた-―――
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