‡ 逢 ‡

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『初めまして。ローレン共和国第一…っ、第一王子の…っ…雅・スフィア=宙=ローレンです…っ…ι』 はぁ……ι どうにかして、この心臓を静かにする事はできないのかな……ι ドクンドクンと、俺の緊張を更に促すこの音と振動は最大の敵。 ここは中庭。客人だっている訳じゃないのに……。 何だって俺の心臓は、こんなにも俺を困らせるんだろう……。 『ねぇ……もぅちょっとさ、協力してくれない?ι』 ガクッと肩を落として、そのまま木の根本に腰を落ち着かせる。 見上げる大空は青く澄んでて…… なんだか、俺の最大の悩みなんてちっぽけに思えてきた…… 『そぅだょ…… みんなカボチャだと思えばいいじゃん……』 我ながら名案だと、ポンと手を打つが 『……ん? そしたら俺は、野菜の国の王子様……?』 なんてバカな考えが頭をよぎる。 それを口にしていたことを知らなかった俺は、木を挟んだ真後ろから『ぶはっ』と吹き出した様な声に飛び上がる程驚くことになった…… .
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