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白い屋根、黒い屋根等、家の形や色はどれもバラバラだ。
それがなければいつも見ている風景は全く面白みのないものになりそうだ。
「それじゃぁアタシ達はこの辺で」
マユミとサトミはきれいに列を崩した。アタシ達は真っ直ぐ行く道を進む。
マユミとサトミは右へ。ここでお別れだ。
「ありがとう。またお金ためてみんなでどこか行こうね」
全員がうなずく。アタシとカヨはサトミとマユミに手を振って分かれた。
お互いが反対の道を進むので二人が見えなくなるのもすぐだった。
夏の夕方、なんともいえない風がアタシの顔に当たり通り過ぎていく。
聞こえるものといえば今は二人のキャリーバッグのカタカタという音だけだ。
なんとも喋り難い状況だ。別にカヨと仲が悪いわけではない。むしろ良すぎるかもしれないほど。
それなのにいつもの調子で口を開き声を発することができない。
紅蓮の夕日に照らされたカヨの黒い髪は動くたびにゆらゆら揺れ不規則に変化する炎のようだ。
カヨはブルーのジーンズに半袖のTシャツを着ている。正面には英語が嫌というほど書いてある。
その英語が何を意味しているのかはアタシには到底わからない。
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